楽器の選び方

楽器選びのポイント

とても楽しく、またとても大変なイベントである「楽器選び」。少なくとも数年以上、もしくは一生共にするパートナーを選ぶ重大決定です。
その選択は楽器を手にする人の音楽人生に大きく影響し、間違いなく重要なターニングポイントをしめすものになるでしょう。

ここではそんな楽器選びにおいておさえておかねばならない大切なポイントをいくつかご紹介。「これしかない」と思える結果に導くお手伝いをさせていただければと思います。

まず、一番最初にイメージしなければいけない事は当然「どんな楽器が欲しいか」です。例えば「赤っぽい色がいい」、「イタリアンモデルがいい」、「モダンにしよう」などなどなんでも自由に希望を決めましょう。
楽器選びは数多くの選択肢の中から「一つのもの」を手繰り寄せなければなりません。より多くのイメージを画き、的を絞りながら見ていくことによって希望に叶う一品に出会える確率を上げていきます。

次に予算を決めましょう。しっかりした楽器の価格はまさに「ピンキリ」。なんとなくの相場感はあるものの見た目に比べその楽器ごとに価格は様々です。どんなに希望通りの一品と出会えてもそれがストラディバリであればお買い求めになる事は少し難しいかもしれません。
お求めの際には希望条件とご予算を2大柱として是非ご相談ください。

そして何より重要なのが「音」「馴染み」。
どれだけ見た目が良くても、どれだけ価格が手頃でも「好きな音ではない」、「自分に合わない」そんなようでは最善の選択とは言えません。
弦楽器には車や電化製品の様に排気量や馬力または消費電力の様な数字で見える性能と言うものがないのでその決定はとても困難です。イメージ、予算である程度的を絞ったらあとは手にとって、弾いて、聴いて、見て、そうすることで何かを感じることができるでしょう。
弦楽器は数ヶ月以上職人が心を込めて製作したものです。こだわりや技術に加え素材の天然木材は数十年以上かけて育った土壌・空気・風そして水の流れまでも記憶しています。そしてその全てを弾き手に語りかけてきます。
目に見えず、数字にもすることができない最後の要素は、他の誰でもなく楽器を手にする本人だけが感じる「何か」なのです。

初級者編(分数バイオリン&フルサイズ)

子供たちは体の大きさや腕の長さに合わせて適正なサイズの楽器を使う必要があります。特に演奏の基礎が確立される習始期には悪い姿勢や不自然な弾き方によるストレスを避けるために、正しいサイズを選ぶことが非常に重要です。

バイオリンには分数で表された様々なサイズがあり、これらは「分数バイオリン」と呼ばれます。
あらゆる年齢に合うよう3/4, 1/2, 1/4, 1/8, 1/16, 1/32, 等の分数バイオリンがあり、「2〜3歳では1/16」「小学2年生は1/4か1/2」、「小学6年生や中学1年生からは、フルサイズ」と言ったように体にあったサイズを使い分けます。
適正なサイズを見る方法としては、まず腕の長さを測ります。それをもとに仮選びした楽器を実際に構え、不自然な体制になったり無理にて腕を伸ばしたりせずに楽にスクロール(バイオリンのヘッド部分の渦巻き)が手のひらで持てる程度がちょうど良い大きさといえます。

チェロにおいても正しいサイズの選び方があります。
まず椅子にまっすぐ座り、ひざを90度の角度に曲げ、足は床にぴったりつけ体を完全にリラックス。次にチェロが胸骨の上に乗るようにエンドピンを伸ばしてチェロを左肩に置き、C線のペグ(糸巻き)は左耳のそば、楽器の下方のくびれは左ひざにあたる所。最後に、左手が指板に楽に届くかどうかを確かめます。これがあらゆる年齢の人が適正なサイズのチェロを選ぶ際によく用いられる方法です。

中級者・上級者編

音楽家として、自分を成長させ、その後の生涯の多くを共に過ごすパートナーにもなるハイグレードな楽器へのアップグレードは、その人生に大きな影響を与える重要な選択であり、細心の注意と的確な決断、そしてタイミングやその物を見極める感覚が必要です。
さて、ここでその選択を行う時がついに来た場合どうすれば良いか考えてみます。

まず様々な検討をします。形、色、自分との相性、その物の質、音色。そしてこれら全てを十分に納得しクリアした楽器となると巡りあうのはなかなか難しいものです。

次にやはり基本予算を決めなければなりません。選択肢は圧倒的に広く、数万円から数百万円、さらには数千万円のものまであるからです。
弦楽器とは世知辛く、その音色は大方その価格に比例します。よくある話として100の予算の人は150の楽器と出会います。ワンランク上の150の作品の音色が耳から離れません。そうなると最終的に100の予算で150の音色を求めます。50の予算の人も同様に50の予算にもかかわらず80の音色を求めます。最終的に「予算内で見た目も相性も質も問題なし、でも音色が物足りない」などなど。この連鎖は効果率で起こります。

こういう時に優先すべきこと、それは、「自分の好みに忠実になること」です。
指導者や周囲の意見に振り回されないことです。指導者に合わなくても、本人には最良の作品である事もあるでしょうし、指導者が最高だと思ったものでも本人にとっては非常に演奏しづらい楽器だという事もあります。

最終的にお金を払うのも自分、その楽器をパートナーとして毎日弾いて行くのも自分です。人は自身に対しては肯定的、他に対しては否定的な思考を持っていて、他人の意見をもとにした選択に起因する後悔には「そのせいにしてしまう」という心理がありそれは逆に「後悔そのもの」を生む結果へと繋がっています。
つまり、「自身に従ってした自身にした選択に後悔は存在しない」のです。

「これしかなかったと今でも思える」結果に導けるよう、どんな楽器がいいか、しっかりとイメージしましょう。